ナレーター | 皆さん、ある晴れた春の日、青い空を見上げてごらんなさい。 それは遠い昔の事
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雲雀 | ねえお日さま、ぼくあなたを好きになっちゃったんだよ。 |
お日さま | 私を?どうして? |
雲雀 | だって素敵だもん。すごく明るいもん。 ぼくの心の中まで照らしてくれるような気がするんだ。 |
お日さま | そう? |
雲雀 | うん。ねえお日さま、ぼくの友達になってくれない? |
お日さま | 友達? |
雲雀 | うん。友達でいいんだ。普通の友達で。もし、ぼくお日さまと友達 になれたら最高に幸せだと思うんだ。ねえ、いいだろ? |
お日さま | ええ、いいわよ。 |
雲雀 | うわあ、ありがとう。ぼくって幸せだな。お日さまのような素敵な 友達が出来たんだから。 ねえ約束したよ。本当にぼくたち友達なんだね。 |
お日さま | ええ、そうよ。 |
ナレーター | それからの雲雀は幸せでした。毎日緑の麦畑を飛び回り、お日さま といろんな話しをすることが出来たからです。青い空の事、緑の麦畑 の事、その他いろんな事をです。 雲雀がいくらお話しをしてもお日さまは「うん」とか「ええ」とか 答えたり、ただ笑っていたりするだけでしたが、それでも雲雀にはそ れでも良かったのです。お日さまに恋をする雲雀にとっては、彼の話 をお日さまが聞いてくれるだけで幸せだったのです。そしてそれを喜 んでくれさえすれば。 |
雲雀 | ねえお日さま、ぼくあなたの歌を歌ってもいい? |
お日さま | わたしの歌? |
雲雀 | うん、お日さまにぴったしの素敵な歌だよ。歌ってもいい? |
お日さま | ええ、いいわよ。 |
雲雀 | じゃあ、歌うよ。聞いててね。 You are my sunshine.My only sunshine.You make me happy・・・ |
ナレーター | 雲雀は出来る限りの事をしてお日さまを喜ばせようとしました。そ して少しでもお日さまが喜んでくれれば雲雀は最高にうれしかったの です。 でも夜になり、お日さまがいなくなると雲雀はとても寂しくなりま した。そして星の輝く空に向かって涙を流すのでした。 |
雲雀 | ねえお日さま、どこへ行ったの? ぼく一人を置いてどこへ行ったの? お空ではあんなにお星さまが輝いているけども、お日さまの輝きは あんなものじゃないよ。もっともっと明るいんだ。お星さまじゃあぼ くの心まで暗くなってしまうよ。 お日さま、ねえどこへ行っちゃったの? |
お星さま | 雲雀さん。雲雀さん。 |
雲雀 | え?誰だい? |
お星さま | わたし。わたし星よ。 |
雲雀 | え?星?ああお星さまか。なんだい?なにか用かい? |
お星さま | 用ってほどのものじゃないけどさ、雲雀さんさっきから言ってたで しょ? |
雲雀 | 何を? |
お星さま | わたし達よりお日さまの方が明るいって。 |
雲雀 | うん、そう言ったよ。 |
お星さま | でも本当はそうじゃないのよ。お日さまよりもわたし達の方がずう っと明るいのよ。 |
雲雀 | ははは、まさか。お日さまの方が明るいよ。だってお日さまの大き いし、光りもまわりを明るく照らしてぼくの心の中にまで届くもん。 |
お星さま | ふふふ、雲雀さんってお馬鹿さんね。それはわたし達よりもお日さ まの方がずうっと近くにいるからじゃないの。近くにいればなんだっ て大きくて明るく見えるわよ。 |
雲雀 | そうかなあ。でもそんなことどうでもいいや。だってぼくお日さま のことが一番好きだもん。 |
お星さま | ふふふ、どうでもしなさい、お馬鹿さん。どんなに近くってもどう せあんたには届きっこないんだから。 じゃあ、さようなら。 |
雲雀 | ああ、さようなら。 |
(間) | |
でも本当かなあ。お日さまよりもお星さまの方が明るいってこと。 どうしていつもお日さまは消えちゃうのかなあ。お話しをしていて あっそうだ、いいこと思いついたぞ。ぼくがお日さまのところへ行 | |
(夜明け) | |
雲雀 | あっ、お日さまだ。 ねえお日さま。 |
お日さま | なあに? |
雲雀 | ねえお日さま、ぼくいままでお星さんとお話ししてたんだよ。 |
お日さま | そう? |
雲雀 | うん。するとね、いいこと思いついたんだ。 |
お日さま | いいこと? |
雲雀 | うん、とってもいいことだよ。うふふ、あのね、ぼく、ぼくお日さ まのところまで飛んで行こうと思うんだ。 |
お日さま | わたしのところへ? |
雲雀 | うん。とってもいい考えだろ?そしていつもお日さまとお話しする んだ。いろんな話しを。そして歌ったり踊ったり、ぼくお日さまと踊 ってみたいな。ぼく踊るのとっても上手なんだよ。 ねえ、いい考えだろ? |
お日さま | ほほほ、あなたには無理よ。いくら頑張ってもわたしに届きっこな いわよ。 |
雲雀 | そんなことないよ。ぼくどんなに遠くっても飛んで行くよ。一生懸 (羽音) |
ナレーター | それ以来この雲雀の姿を見た者は誰もいません。でもそれから数日 死んだ死んだ 雲雀が死んだ 死んだ死んだ 雲雀が死んだ 死んだ死んだ 雲雀が死んだ 死んだ死んだ 雲雀が死んだ 死んだ死んだ 雲雀が死んだ
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皆さん、春が過ぎ夏が来ると雲雀達がいなくなるのを不思議に思っ 私は春、一人麦畑に出て雲雀達の鳴き声を聞いていると、聞こえて “愛する人よさようなら |